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社会保険Q&A

Q. 社会保険の加入対象について、教えてもらえるでしょうか?

 法人については、すべて加入義務がございます。個人事業者についても、一部の業種を除いて5人以上の従業員を使用している場合は、加入義務がございます。これらの事業所を、強制適用事業所と言います。加入義務のない個人事業者については、任意適用の制度がございます。この場合、従業員の2分の1以上の同意を得て任意加入の申請をし、厚生労働大臣の認可を受けることにより(任意)適用事業所となることができます。

Q. 適用事業所になった場合、どのような書類を提出する必要があるでしょうか?

 次の書類が必要となります。

 ① 健康保険・厚生年金保険新規適用届
 ② 健康保険・厚生年金保険被保険者資格取得届
 ③ 健康保険被扶養者(異動)届(国民年金第3号被保険者関係届) (必要に応じて提出)

 強制適用事業所以外の事業所は、①~③に加えて任意適用申請書の提出が必要となります。また、①の健康保険・厚生年金保険新規適用届には登記事項証明書を添付する必要がございます。

Q. 代表者は、被保険者になることはできるでしょうか?

 被保険者とは、適用事業所に使用される者を言います。法人の代表者は、法人に使用される者となるため被保険者になることができます。しかし、個人事業主は使用する者であり、使用される者でないため、被保険者になることはできません。

Q. パートタイムやアルバイトは、被保険者になることはできるでしょうか?

 通常の労働者の所定労働時間や所定労働日数の概ね4分の3以上働いている労働者は、被保険者として取り扱うこととされています。
 なお、平成28年10月1日から一定規模の事業所については、加入条件が緩和されています。

 ① 1週間の所定労働時間が20時間以上であること
 ② 年収106万円以上であること
 ③ 雇用期間が1年以上見込まれること
 ④ 学生でないこと

Q. 社会保険の被扶養者になるための条件を教えてもらえるでしょうか?

 被扶養者とは、被保険者の直系尊属(父母、祖父母など)、配偶者、子、孫、兄弟姉妹で主として被保険者に生計を維持されている人、または被保険者と同一の世帯(同居して家計をともにしている状態)で主として被保険者の収入により生計を維持されている次の人をいいます。

 ① 被保険者の3親等以内の親族(伯叔父母、甥姪とその配偶者など)
 ② 被保険者の事実婚の配偶者の父母および子
 ③ ②の配偶者が亡くなった後における父母および子

 ただし、後期高齢者医療制度の被保険者等である人は、除きます。
 また、収入要件については年間収入が130万円未満で、かつ、対象者が同一世帯に属している場合は被保険者の年間収入の2分の1未満、同一世帯に属していない場合は被保険者からの仕送り額未満の場合、被扶養者に該当します。
 なお、対象者が60歳以上またはおおむね障害厚生年金を受けられる程度の障害者の場合は130万円未満が180万円未満となります。

Q. 標準報酬月額の特徴、決定方法について教えてもらえるでしょうか?

 標準報酬月額は、健康保険、厚生年金保険の保険料の額、保険給付の額を計算する基礎となるものです。健康保険は58,000円~1,390,000円の全50等級、厚生年金保険は88,000円~650,000円の全32等級に区分され、標準報酬月額表に各等級の金額の範囲が掲載されています。標準報酬月額の決定方法は、次の5通りございます。

 ① 資格取得時決定
 ② 定時決定
 ③ 随時改定
 ④ 育児休業等終了時改定
 ⑤ 産前産後休業終了時改定

Q. 資格取得時決定について、教えてもらえるでしょうか?

 資格取得時決定は、被保険者の資格を取得した日現在の報酬の額(給料に諸手当を合わせた報酬額)に基づいて決定されます。資格取得時決定によって決められた標準報酬月額は、資格取得日が1月1日から5月31日までにある場合にはその年の8月まで、資格取得日が6月1日から12月31日までの間にある場合は翌年の8月まで使用されます。

Q. 定時決定について、教えてもらえるでしょうか?

 定時決定は、7月1日時点で使用している全被保険者の4月~6月の3か月間(いずれも支払基礎日数17日以上)に受けた報酬月額の総額をその期間の月数(基本は3)で割り、標準報酬月額を決定します。定時決定により決められた標準報酬月額は、その年の9月から翌年の8月まで使用されます。

Q. 随時改定について、教えてもらえるでしょうか?

 随時改定は、9月から8月までの間において、継続した3か月間に受けた報酬の総額を3で割った額が、定時決定で決まった標準報酬月額と比べて大幅に変動した場合において以下の3つの条件を満たしているときに、変動が始まった月から起算して4か月目から行われます。

 ① 昇給・降給などで固定的賃金(基本給など)に変動があったとき
 ② 継続した3か月間に受けた報酬(諸手当も含む)の総額を3で割った額に基づいて算定した標準報酬月額の等級と、
   現在の等級との間に2等級以上の差が生じたとき
 ③ 3か月とも支払基礎日数が17日以上であったとき

 随時改定によって決定された標準報酬月額は、1月1日から6月30日までに改定された場合、再び随時改定等がない限り、その年の8月まで適用されます。また、7月1日から12月31日までに改定された場合は、翌年の8月まで適用されます。

Q. 育児休業等終了時改定について、教えてもらえるでしょうか?

 育児休業等終了時改定は、以下の4つの条件を満たしているとき、随時改定に該当しなくても、育児休業終了日の翌日が属する月(復帰月)以後3か月間に受けた報酬の平均額に基づき、復帰月から起算して4か月目の標準報酬月額から改定するものです。

 ① これまでの標準報酬月額と改定後の標準報酬月額との間に1等級以上の差が生じたとき
 ② 被保険者が、育児休業等(育児休業法に規定する育児休業または育児休業に準ずる休業)を終了したこと
 ③ 被保険者が、育児休業等終了日において3歳に満たない子を養育すること
 ④ 被保険者が、事業主を経由して保険者(日本年金機構)に申し出ること

 育児休業等終了時改定によって決定された標準報酬月額は、1月1日から6月30日までに改定された場合、再び随時改定等がない限り、その年の8月まで適用されます。また、7月1日から12月31日までに改定された場合は、翌年の8月まで適用されます。

Q. 産前産後休業終了時改定について、教えてもらえるでしょうか?

 産前産後休業終了時改定は、以下の4つの条件を満たしているとき、随時改定に該当しなくても、育児休業終了日の翌日が属する月(復帰月)以後3か月間に受けた報酬の平均額に基づき、復帰月から起算して4か月目の標準報酬月額から改定するものです。

 ① これまでの標準報酬月額と改定後の標準報酬月額との間に1等級以上の差が生じたとき
 ② 被保険者が、産前産後休業を終了したこと
 ③ 被保険者が、産前産後休業終了日においてその産前産後休業にかかる子を養育すること
 ④ 被保険者が、事業主を経由して保険者(日本年金機構)に申し出ること

 産前産後休業終了時改定によって決定された標準報酬月額は、1月1日から6月30日までに改定された場合、再び随時改定等がない限り、その年の8月まで適用されます。また、7月1日から12月31日までに改定された場合は、翌年の8月まで適用されます。
 なお、産前産後休業終了日の翌日に育児休業を開始している場合は、申出できません。

Q. 保険料はどのようにして計算され、負担はどうなっているのでしょうか?

 保険料は、以下の式で計算をいたします。

保険料=標準報酬月額×保険料率

 標準報酬月額については、平成31年現在表の通り次のとおり等級が定められています。

 健康保険の等級…第1級58,000円~第50級1,390,000円
 厚生年金保険の等級…第1級88,000円~第32級650,000円

                     ちなみに、保険料率は、健康保険料率、介護保険料率(40歳以上65歳未満の介護保険第2号被保険者のみ)、厚生年金保険料率、子ども・子育て拠出金率に区分され、それぞれ10.29%(協会けんぽ大阪府の場合)、1.80%、18.300%、0.36%です。また、負担については健康保険、介護保険、厚生年金保険については事業者と被保険者が2分の1ずつの負担、子ども・子育て拠出金は事業主の全額負担となります。

Q. 月末に退職された方の保険料は、どのように控除すればよろしいでしょうか?

 保険料については、前月分の保険料を当月分の報酬(給料)から控除することとなっています。月末に退職された方は、退職された月の保険料を翌月に控除することができません。そのため、退職された月に、その前月と退職された月の分の保険料を控除することができます。

Q. 産前産後休業期間中の保険料は、どうなっているでしょうか?

 平成26年4月1日から、以下の条件を満たせば産前産後休業開始日の属する月から産前産後休業終了日の翌日の属する月の前月まで被保険者負担分、事業者負担分とも保険料が免除されます。

 ① 被保険者が、産前産後休業をしていること
 ② 事業主が、保険者(日本年金機構)に申し出ること

Q. 健康保険の給付にはどのようなものがございますか?

 健康保険の主な給付は、次のとおりです。

給付の種類 どんなときに
療養費 就職直後で保険証がない等、やむを得ず全額自己負担で受診したときや、治療上の必要からコルセット等の治療用装具を装着したときなど
高額療養費 被保険者本人・被扶養者とも単独または、世帯合算で1か月の窓口負担額が自己負担限度額を超えたとき
傷病手当金 被保険者が療養のために会社を休み、事業主から給料を受けられないとき
出産手当金 被保険者が出産のため会社を休み、事業主から給料を受けられないとき
出産育児一時金 被保険者(被扶養者)が出産したとき
埋葬料(費) 被保険者(被扶養者)が亡くなったとき

Q. 高額療養費制度とは、どんな制度でしょうか?

 同じ診療月に、受けた保険診療に係る(病院または薬局で支払った)一部負担金(自己負担額)が自己負担限度額を超えた場合、超えた額が高額療養費として支給されます。式にすると、以下のようになります。

高額療養費=一部負担金-自己負担限度額

 また、高額療養費の自己負担限度額に達しない場合であっても、同じ診療月に1つの世帯で21,000 円以上の自己負担が複数ある場合、これらを合算して自己負担限度額を超えた時は、その超えた金額が支給されます。これを、世帯合算といいます。
 高額療養費制度については、70歳未満と70歳以上75歳未満では自己負担限度額に違いがあります。それぞれの場合における自己負担限度額は、次のとおりです。

70歳未満

被保険者の
所得区分

自己負担限度額
(直近12か月間で1~3回)

多数該当
(直近12か月間で4回以上)

標準報酬月額が
83万円以上
252,600円+(総医療費-842,000円)×1% 140,100円
標準報酬月額が
53~79万円
167,400円+(総医療費-558,000円)×1% 93,000円
標準報酬月額が
28~50万円
80,100円+(総医療費-267,000円)×1% 44,400円
標準報酬月額が
26万円以下
57,600円 44,400円
低所得者 35,400円 24,600円

 低所得者とは、被保険者が市区町村民税非課税者などの場合をいいます。

70歳以上75歳未満

被保険者の
所得区分

自己負担限度額
外来(個人ごと) 外来・入院(世帯)

標準報酬月額が

83万円以上

252,600円+(医療費-842,000円)×1%
(多数該当:140,100円)

標準報酬月額が

53万円~79万円

167,400円+(医療費-558,000円)×1%
(多数該当:93,000円)

標準報酬月額が

28万円~50万円

80,100円+(医療費-267,000円)×1%
(多数該当:44,400円)

標準報酬月額が

26万円以下

18,000円
(年間上限144,000円)
57,600円
(多数該当:44,400円)
低所得者Ⅱ
8,000円
24,600円
低所得者Ⅰ 15,000円

 低所得者Ⅱとは、被保険者が市区町村民税非課税者などの場合をいいます。
 低所得者Ⅰとは、被保険者とその扶養家族全ての方の収入から必要経費・控除額を除いた後の所得がない場合をいいます。

Q. 傷病手当金は、どのようなときに支給されるでしょうか?

 以下の条件をすべて満たすときに支給されます。

 ① 業務外の病気やケガで療養中であること
 ② 療養のために労務不能であること(仕事に就くことができないこと)
 ③ 労務不能となった日から起算して4日以上休んでいること(待期の完成といいます。)
 ④ 一部でも給与の支払いがないこと

 一部でも給与の支払いがある場合については、給与の額が傷病手当金の額以上となる場合は、支給されません。

Q. 傷病手当金の受給額は、いくらでしょうか?

 傷病手当金は、1日につき直近12か月間の各月の標準報酬月額の平均額の30分の1に相当する額の3分の2に相当する金額となります。式にすると、以下のようになります。

1日当たりの受給額=直近12か月間の各月の標準報酬月額の平均額÷30×2/3

 支給開始日の以前の期間が12か月に満たない場合は、下記の2つの金額を比較して少ない方の金額を使用します。

 ① 支給開始日の属する月以前の継続した各月の標準報酬月額の平均額
 ② 標準報酬月額の平均額

   28万円(※支給開始日が平成31年3月31日までの場合)

   30万円(※支給開始日が平成31年4月1日以降の場合)

Q. 傷病手当金はいつまで受けられるでしょうか?

 同一の傷病について、支給を開始した日から暦日数で最長1年6か月間です。

Q. 傷病手当金は、退職後も受けられるでしょうか?

以下の2つの条件を満たす場合、退職後も受けることができます。

 ① 被保険者資格喪失日の前日(例:退職日)まで引き続き1年以上被保険者であったこと
 ② 被保険者資格を喪失した際に傷病手当金を支給されていること

 例えば、退職日までに待期が完成している場合(例:退職日の3日前に労務不能になった場合)は、退職後も傷病手当金を受給できます。しかし、退職日に労務不能になった場合は待期が完成していないため退職後に傷病手当金を受給することはできませんので、待期の完成ということには十分注意を払っていただきたく思います。

Q. 健康保険における出産の範囲について、教えてもらえるでしょうか?

 健康保険における出産は、85日以上妊娠していた場合における出産、死産、流産(人工流産も含みます。)、早産すべてを出産に含むこととします。

Q. 出産手当金は、どのようなときに支給されるでしょうか?

 以下の条件をすべて満たすときに支給されます。

 ① 被保険者が出産したこと
 ② 出産日以前42日間(多胎妊娠の場合は98日間)、出産日の翌日以降56日間にあること
 ③ 出産のため、仕事を休んだこと
 ④ 一部でも給与の支払いがないこと

 出産が予定より遅れた場合は、その遅れた日数分だけ出産手当金が支給されます。
 一部でも給与の支払いがある場合については、給与の額が出産手当金の額以上となる場合は、支給されません。

Q. 出産手当金の受給額は、いくらでしょうか?

 出産手当金の受給額は、同じです。式にすると、以下のようになります。

1日当たりの受給額=直近12か月間の各月の標準報酬月額の平均額÷30×2/3

 支給開始日の以前の期間が12か月に満たない場合の取扱についても、傷病手当金と同じです。

Q. 出産手当金は、退職後も受けられるでしょうか?

 以下の2つの条件を満たす場合、退職後も受けることができます。

 ① 被保険者資格喪失日の前日(例:退職日)まで引き続き1年以上被保険者であったこと
 ② 被保険者資格を喪失した際に出産手当金を支給されていること

Q. 出産育児一時金の受給額は、いくらでしょうか?

 出産育児一時金は、1人出産するごとに42万円が支給されます。(産科医療補償制度に加入されていない医療機関等で出産された場合は1人出産するごとに40.8万円(令和3年12月31日以前の出産は40.4万円)となります。)ですから、双子を出産した場合は、84万円支給されます。

Q. 出産育児一時金は、退職後も受けられるでしょうか?

 以下の2つの条件を満たす場合、退職後も受けることができます。

 ① 被保険者資格喪失日の前日(例:退職日)まで引き続き1年以上被保険者であったこと
 ② 被保険者資格喪失後、6か月以内に出産すること

Q. 任意継続被保険者について、教えてもらえるでしょうか?

 会社を退職するなどして被保険者資格を喪失する場合、以下の条件を満たすことにより任意継続被保険者の資格を得ることができます。

 ① 資格喪失日の前日までに継続して2か月以上の被保険者期間があること
 ② 資格喪失日から20日以内に申請すること

Q. どのような場合において、任意継続被保険者の資格は喪失されるのでしょうか?

 次のいずれかに該当するときは、任意継続被保険者の資格が喪失されます。

 ① 被保険者が死亡したとき
 ② 任意継続被保険者となった日から2年を経過したとき
 ③ 保険料を納付期日までに納付しなかったとき
 ④ 就職して、健康保険適用事業所の被保険者となったとき
 ⑤ 後期高齢者医療の被保険者となったとき

Q. 任意継続被保険者の保険料はどのようにして計算され、負担はどうなっているのでしょうか?

 退職時の標準報酬月額に健康保険料率を掛け合わせて保険料が計算されます。健康保険料率は、一般被保険者の場合と変わりはありません。介護保険第2号被保険者に該当する方は、介護保険料も上乗せして払うこととなります。ただし、退職時の標準報酬月額が30万円(平成31年3月分までは28万円)を超える場合は、標準報酬月額は30万円(平成31年3月分までは28万円)となります。
 負担については、一般被保険者の場合は事業者と被保険者が半々の負担ですが、任意継続被保険者の場合は被保険者が全額負担することとなります。
 保険料については前納制度もあり6か月前納、12か月前納などがございます。

Q. 任意継続被保験者は、傷病手当金・出産手当金の給付は受けられるのでしょうか?

 任意継続被保険者は、一般被保険者が受けられる保険給付と同様の給付を原則として受けることができますが、傷病手当金・出産手当金は、任意継続被保険者には支給されません。