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以下の要件を満たせば、アルバイト、パートタイム労働者などの雇用形態を問わず、適用があります。
① 1週間の労働時間が20時間以上である者
② 同一の事業主に継続して31日以上雇用されることが見込まれる者
雇用保険の被保険者とされるのは、適用事業主に雇用される労働者です。取締役は、事業主との委任関係に立つもので、雇用関係でないため、被保険者とはならないことになります。
しかし、取締役であっても、会社の部長、工場長など会社の従業員と同様の身分を兼ねている場合があります。この場合は、取締役としての地位のほかに労働者としての地位を合わせて有しています。雇用保険においては、報酬支払、就労実態の面から見て労働者的性格が強いと判断された場合のみ、被保険者として取り扱うこととされています。
なお、株式会社の代表取締役、合名会社、合資会社の代表社員等については、雇用関係ということはあり得ないので、被保険者とはなりません。
雇用保険には、以下の4種類の被保険者区分があります。
① 一般被保険者 高年齢継続被保険者、短期雇用特例被保険および日雇労働被保険者以外の者をいいます。
② 高年齢継続被保険者
③ 短期雇用特例被保険者 季節的に雇用される者のうち、以下の(1)、(2)のいずれにも該当しない者をいいます。
(1) 4か月以内の期間を定めて雇用される者
(2) 1週間の労働時間が20時間以上30時間未満である者
④ 日雇労働被保険者
日雇労働者で、一定の地理的要件を満たしている者をいいます。
日雇労働者とは、日々雇用される者または30日以内の期間を定めて雇用される者のことをいいます。
雇用保険の給付は、以下の4つに大別されます。
給付 | 目的 |
求職者給付 | 労働者が失業した場合の生活の安定を図るため |
就職促進給付 | 労働者が失業した場合の就職の促進を図るため |
教育訓練給付 | 労働者の職業能力開発の促進を図るため |
雇用継続給付 | 高齢者や育児・介護休業者の職業生活の円滑な継続の促進を図るため |
求職者給付は、被保険者の種類別にさらに内容が細分化されています。
被保険者の種類 | 給付の種類 |
一般被保険者 |
基本手当(失業保険) 技能習得手当 寄宿手当(受講手当、通所手当があります。) 傷病手当 |
高年齢継続被保険者 | 高年齢求職者給付金 |
短期雇用特例被保険者 | 特例一時金 |
日雇労働被保険者 | 日雇労働求職者給付金 |
就職促進給付、教育訓練給付、雇用継続給付についても内容が細分化されています。
分類 | 給付の種類 |
就職促進給付 | 就業促進手当 移転費 広域就職活動費 |
教育訓練給付 | 教育訓練給付金 |
雇用継続給付 | 高年齢雇用継続給付金 育児休業給付金 介護休業給付金 |
雇用保険の被保険者が離職して、次の①および②のいずれにも該当し受給資格を満たすときは一般被保険者については基本手当が支給されます。
① 公共職業安定所(ハローワーク)に来所し、求職の申込みを行い、就職しようとする積極的な意思があり、いつでも就職できる能力があるにもかかわらず、本人や公共職業安定所の努力によっても、職業に就くことができない「失業の状態」にあること。
そのため、次のような状態にあるときは、基本手当を受けることができません。
② 離職の日以前2年間に、被保険者期間が通算して12か月以上あること。ただし、特定受給資格者(倒産・解雇等により再就職の準備をする時間的余裕なく離職を余儀なくされた受給資格者)または特定理由離職者(特定受給資格者以外の者であって期間の定めのある労働契約が更新されなかったこと、その他やむを得ない理由により離職した者)については、離職の日以前1年間に、被保険者期間が通算して6か月以上ある場合でも可。
ここでいう被保険者期間とは、雇用保険の被保険者であった期間のうち、離職日から1か月ごとに区切っていた期間に賃金支払いの基礎となった日数が11日以上ある月を1か月と計算します。
基本手当を受けるためには、上記の受給要件を満たしているほかに、その人が住んでいる管轄の公共職業安定所に出向き、求職の申込みをしたうえで、失業の認定をうけなければなりません。
雇用保険で受給できる1日当たりの金額を基本手当日額といい、離職者の賃金日額に基づいて算定します。賃金日額は、離職した日の直前の6か月に毎月きまって支払われた賃金(退職金、賞与等は除きます。)の合計を180で割って計算します。賃金が、日給、時間給、出来高給そのた請負制等によって支払われる人については、労働した日1日に支払われた賃金額の70%を賃金日額の最低限としています。
基本手当日額は、賃金日額の50~80%(離職日に60歳以上65歳未満の方は、45~80%)の金額となります。平成29年8月1日以降の基本手当日額を年齢区分、賃金日額ごとに表にまとめると、以下のようになります。
賃金日額(w円) | 給付率 | 基本手当日額(y円) |
◆離職時の年齢が29歳以下(※1) | ||
2,470円以上4,940円未満 | 80% | 1,976円~3,951円 |
4,940円以上12,140円以下 | 80%~50% | 3,952円~6,070円(※2) |
12,140円超13,420円以下 | 50% | 6,070円~6,710円 |
13,420円(上限額)超 | ― | 6,710円(上限額) |
◆離職時の年齢が30~44歳 | ||
2,470円以上4,940円未満 | 80% | 1,976円~3,951円 |
4,940円以上12,140円以下 | 80%~50% | 3,952円~6,070円(※2) |
12,140円超14,910円以下 | 50% | 6,070円~7,455円 |
14,910円(上限額)超 | ― | 7,455円(上限額) |
◆離職時の年齢が45~59歳 | ||
2,470円以上4,940円未満 | 80% | 1,976円~3,951円 |
4,940円以上12,140円以下 | 80%~50% | 3,952円~6,070円(※2) |
12,140円超16,410円以下 | 50% | 6,070円~8,205円 |
16,410円(上限額)超 | ― | 8,205円(上限額) |
◆離職時の年齢が60~64歳 | ||
2,470円以上4,940円未満 | 80% | 1,976円~3,951円 |
4,940円以上10,920円以下 | 80%~45% | 3,952円~4,914円(※2) |
10,920円超15,650円以下 | 45% | 4,914円~7,042円 |
15,650円(上限額)超 | ― | 7,042円(上限額) |
※1 離職時の年齢が65歳以上の方が高年齢求職者給付金を受給する場合も、この表を適用します。
※2 y=(-w224,140w)/24,000
※3 y=(-7w2130,260w)/119,600,y=0.05w+4,368のいずれか低い方の額
基本手当を受給できる期間を、所定給付日数といいます。離職時の年齢、離職事由、被保険者期間、就職困難者か否かにより以下の表のとおり定められています。
① 一般の受給資格者(就職困難者を除く)
被保険者であった期間 | |||||
1年未満 |
1年以上 5年未満 |
5年以上 10年未満 |
10年以上 20年未満 |
20年以上 | |
全年齢共通 | - | 90日 | 90日 | 120日 | 150日 |
② 特定受給資格者・特定理由離職者
被保険者であった期間 | |||||
1年未満 |
1年以上 5年未満 |
5年以上 10年未満 |
10年以上 20年未満 |
20年以上 | |
30歳未満 | 90日 |
90日 | 120日 | 180日 | 180日 |
30歳以上35歳未満 | 120日 | 180日 | 210日 | 240日 | |
35歳以上45歳未満 | 150日 | 180日 | 240日 | 270日 | |
45歳以上60歳未満 | 180日 | 240日 | 270日 | 330日 | |
60歳以上65歳未満 | 150日 | 180日 | 210日 | 240日 |
③ 就職困難者
被保険者であった期間 | |||||
1年未満 |
1年以上 5年未満 |
5年以上 10年未満 |
10年以上 20年未満 |
20年以上 | |
45歳未満 | 150日 |
300日 | |||
45歳以上65歳未満 | 360日 |
就職困難者とは、以下の者をいいます。
▪ 身体障害者、知的障害者、精神障害者
▪ 保護観察に付された者またはその者の職業斡旋に関し、保護観察所長から公共職業安定所長に連絡のあった者
▪
社会的事情により就職が著しく阻害されている者
妊娠のみならず、出産、育児などで引き続き30日以上職業に就くことができない場合については、公共職業安定所長に受給期間延長の申出を行えば、その働くことのできなくなった日数だけ、受給期間を延長することができます。ただし、延長できる期間は最長で4年間となっています。
基本手当は、公共職業安定所に求職の申込をしてから7日間は待期期間となり、その間は離職理由を問わず基本手当は支給されません。 さらに、待期期間満了後、以下の理由により離職した場合は一定の期間基本手当の支給が行われない場合があります。
① 自己都合により退職した場合…3か月
② 公共職業安定所による職業の紹介を拒否等した場合…1か月間
65歳以上の高年齢者(高年齢継続被保険者)が失業した場合は、一般の被保険者が失業した場合と違い、基本手当ではなく一時金である高年齢求職者給付金が支給されることとなります。一般の被保険者と違い、離職の日以前1年間に、被保険者期間が通算して6か月以上あれば、受給資格が得られます。支給額は、以下の通りです。
被保険者期間 | 支給額 |
1年未満 | 基本手当日額×30日分 |
1年以上 | 基本手当日額×50日分 |
待期、支給制限については、基本手当と同様の取扱がなされます。
基本手当、高年齢求職者給付金は非課税ですので、確定申告は必要ありません。
以下の8つの要件を満たしている場合に、もらうことができます。
① 1年を超えて引き続き雇用されると認められること
② 採用の内定が受給資格決定日以降であること
③ 離職前の事業主または関連事業主に雇用されたものでないこと
④ 待期期間経過後、職業に就いたこと
⑤ 離職理由により給付制限を受けた場合、待期期間満了後の1か月間はハローワークもしくは、許可・届出のある職業紹介事業者の紹介により就職したこと
⑥ 就職日の前日までの認定を受けたうえで、支給残日数が所定給付日数の3分の1以上であること
⑦ 過去3年以内の就職について再就職手当、常用就職支度手当の支給を受けていないこと
⑧ 雇用保険の被保険者資格を取得していること(雇用保険に加入する労働条件で働いていること)
就職日の前日における基本手当の支給残日数が所定給付日数の2/3以上であるもしくは2/3未満であるかによって、違いがあります。それぞれの計算式は、以下の通りです。
① 支給残日数が、所定給付日数の2/3以上であるとき
基本手当日額×支給残日数×7/10 |
② 支給残日数が、所定給付日数の2/3未満であるとき
基本手当日額×支給残日数×6/10 |
高年齢雇用継続給付には、基本手当を受給せず雇用を継続される場合に支給される高年齢雇用継続基本給付金と、基本手当を受給後に再就職した場合に支給される高年齢再就職給付金があります。60歳以降の各月の支給額を60歳時点の賃金で除した割合(低下率といいます。)に応じて、支給額は以下の通りとなります。
① 低下率が61%以下の場合…支給対象月の賃金額×15%
② 低下率が61%超75%以下の場合…支給対象月の賃金額×(15%から一定の割合で低減するように定められた率)
③ 低下率が75%以上の場合…支給されない
支給期間については、高年齢雇用継続基本給付金と高年齢再就職給付金とは違いがあります。高年齢雇用継続基本給付金は、低下率が条件を満たしておれば65歳に達する月まで支給されます。これに対し、高年齢再就職給付金は、基本手当の残日数に応じ支給期間に違いがあります。
① 所定給付日数を200日以上残して就職した場合…2年間
② 所定給付日数を100日以上残して就職した場合…1年間
ただし、①、②の期間内に65歳に達した場合は、その月で打ち切られます。
併給できません。どちらか一方の支給となります。
高年齢雇用継続給付の給付額に応じ、年金の一部が支給停止される場合があります。
教育訓練給付制度は、働く人の主体的な能力開発の取組みまたは中長期的なキャリア形成を支援し、雇用の安定と再就職の促進を図ることを目的とする雇用保険の給付制度です。教育訓練給付制度は、従来からの教育訓練の費用を支援する教育訓練給付金と、平成26年から新たに創設された45歳未満の離職者の受講中の生活を支える教育訓練支援給付金から構成されています。教育訓練給付金の支給要件および支給額についてまとめると以下の通りとなります。
教育訓練給付金 支給対象者 |
支給要件 期間 |
支給額 | 支給されない場合 | |
支給率 |
上限額 |
|||
①一般教育訓練をうけ修了した者 |
3年以上 初回:1年以上 |
20/100 |
10万円 |
・4,000円を超えない ・3年内に教育訓練給付金を受給 |
②専門実践教育訓練を受け、修了した者(③を除く) |
10年以上 初回:2年以上 |
40/100 |
96万円 |
・4,000円を超えない ・10年内に教育訓練給付金を受給 |
③専門実践教育訓練を受け、修了し資格を取得し、一般被保険者として雇用された者等 |
60/100 |
※1 |
※1 訓練期間が3年の場合の金額、2年の場合は64万円、1年の場合は32万円
※2 訓練期間が3年の場合の金額、2年の場合は96万円、1年の場合は48万円
ここでいう専門実践教育訓練の教育訓練給付金は、中長期的なキャリア形成を支援するために平成26年10月1日から拡充されたものです。
教育訓練給付金が教育訓練にかかった経費(入学金、受講料など)の一部について、公共職業安定所(ハローワーク)から支給を受けられるようにして、教育訓練の受講にかかる本人の費用負担を軽くするためのものであるのに対し、教育訓練支援給付金は、教育訓練を受講している間の生活を支えるためのものです。教育訓練支援給付金は上表の②、③の専門実践教育訓練にかかる給付金の受給資格を持ち、45歳未満の離職者が受給対象となります。受給額は基本手当日額相当額の50%で、雇用保険の基本手当の支給が受けられない期間について訓練受講期間中受給されます。
なお、教育訓練給付制度については平成31年3月31日までの時限措置となります。
育児休業給付金は、労働者が育児休業を取りやすくし、育児休業中の生活の支援を目的として支給されるものです。 支給要件は、以下の通りです。
① 一般被保険者が、その1歳に満たない子を養育するための休業をした場合であること
② 休業開始日より前2年間に、みなし被保険者期間が通算して12か月以上であること
下記の条件を満たす場合は、1歳が1歳6か月に延長されます。
▪ 保育所への入所を希望しているのに、入所できない場合
▪ 配偶者が死亡した場合
▪ 離婚などの事情で同居しないことになった場合
▪ 病気やケガなどで養育困難になった場合
▪ 6週間以内に出産予定がある場合、または産後8週間を経過しない場合
また、父親と母親が育児休業をずらして取った場合は、「パパ・ママ育休プラス」という制度で1歳2か月まで受給期間を延長することができます。
支給額は、以下の式で計算されます。
休業開始時賃金日額×支給日数×67/100(休業開始後6か月経過後は50/100) |
休業開始時賃金日額とは、当該被保険者が休業開始日前日に離職したものとみなしたときの賃金日額をいいます。休業開始時賃金日額の上限額は、年齢を問わず14,150円です。
支給額については、休業中に休業開始時賃金日額の13%(休業開始後6か月経過後は30%)を超える賃金が支給されるときは減額され、80%以上の時は支給されません。
ちなみに、育児休業期間中は社会保険料(健康保険・厚生年金保険)については、本人および事業主負担分が免除されます。また、育児休業給付金は、非課税となります。
介護休業給付金は、労働者が介護休業を取得しやすくし、その後の円滑な職場復帰を援助、促進することにより職業生活の継続を支援することを目的として支給されるものです。 支給要件は、以下の通りです。
① 一般被保険者が、家族を介護するための休業をした場合であること
② 休業開始日より前2年間に、みなし被保険者期間が通算して12か月以上であること
支給額は、以下の式で計算されます。
休業開始時賃金日額×支給日数×67/100 |
休業開始時賃金日額とは、当該被保険者が休業開始日前日に離職したものとみなしたときの賃金日額をいいます。休業開始時賃金日額の上限額は、年齢を問わず15,550円です。
介護休業給付金の対象となる介護休業期間は、1回で最長3か月(93日)です。
支給額については、休業中に休業開始時賃金日額の13%を超える賃金が支給されるときは減額され、80%以上の時は支給されません。
ちなみに、介護休業給付金は、非課税となります。